超簡単な評価で股関節と足関節の問題かを絞る方法①
今日は短めに臨床の評価で僕がよく使っていれる検査とみているポイントについて紹介していこうと思います。
今日はタイトルにある通り動作能力の著しい低下の原因が股関節にあるのか、それとも足関節あるのかを見極める検査を紹介します。
まず最初に注意ですが、患者様の動作能力の低下の原因が単一の関節のみに存在していることは少ないです。外傷性の整形疾患であれば単一のリハビリで能力の劇的な改善もあるとは思いますが・・・。
廃用症候群などは全身的な筋力低下を引き起こしますし、加齢に伴う老化(1次性サルコペニア)が原因の場合もあります。もしこの辺の話に興味のある方はこちらをご覧ください。簡単ではありますがまとめてあります。
さて、上記の前提条件を踏まえた上で単関節に対してアプローチする意義です。それは自分の行っているリハビリが効果あるのかを検証するためです。さらにリハビリ時間が限られている中で効率的に時間を使うには、あれもこれもと多くの部位に触れている時間はないです。
評価についてもボトムアップ的に全ての要因を検査して精査する方が確実に良い治療介入を可能になるとは思いますが、簡便に検査を行ってすぐに治療に移った方が患者様のためになると最近思っています。
というわけで、学会発表するわけではないのであれば、動作といくつかの理学療法評価学で学ぶような検査(笑)をスクリーニング的に行って原因を絞っていくと良いのかなと思います。
前置きが長くなりました。でも理由であったり、根拠が必要で僕らの一番弱いポイントなんではないかと思いますのでいちいち考えていきたいと思ってます。
今日はイメージ症例を紹介し検査項目2つでみていきます。
今回のメニュー
・イメージ症例
・上肢支持なしでの立ち上がり動作と着座動作
・大きい方向転換と小さい方向転換
・一歩目の足のすくみの統合と解釈
・椅子に近づいた時の統合と解釈
・さいごに
イメージ症例
今回は歩行可能症例を想定します。通所リハビリを利用されており、病院に来院されて長いリハビリ室までの廊下を一人で歩くことができます。人とお話しするのが好きでよく病院スタッフと会話を楽しんでいる様子が印象的です。リハビリと他の患者様との会話を楽しみに毎週通院しています。しかし椅子に座ろうとしたり、一回話に夢中になって立ち止まり話し終えた後に歩き始めると足がすくんでしまい小刻みなステップを繰り返してしまうことが困っているとのことでした。
普通に考えると目標物へ近づいた時や歩き始めに足がすくんでいることからパーキンソン病を疑いますね。パーキンソン病と聞くと難病です。リハビリの目標を無意識下で現状の歩ける状態を維持しようと考えてしまいます。
ここで考えたいことがまずパーキンソン病の影響なのかそれとも筋力低下などの要因から足のすくみが生じている可能性があるのか確認し、治療対象を見極めることが重要です。
廃用症候群のリハビリとそんなに変わらないです。ただ原因の一部に脳神経系が含まれるだけです。
そしてその際に股関節なのか足関節なのかを見極めることが必要になります。
なぜ今パーキンソン病の症状で語り始めたかというと実際にありそうな症例を想定した方が現場で使いやすいのではないかと思いましたので少し複雑にしました。
上肢支持なしでの立ち上がり動作と着座動作
ここからは簡単にといっていたので簡単に説明します。大前提として立ち上がり動作では座位姿勢から離殿直前までで決まると言われています。この時に重要になるのが体幹と股関節の運動学です。つまり立ち上がりが困難な症例は主に股関節周囲に問題があるということです。
次に着座動作ですが、着座は逆に重力によって勝手に沈み込んでいく身体をコントロールしなくてはならない動作です。この時に特に大事になるのが足関節の底屈モーメントです。つまり急激な着座を行ってしまう場合は足関節の運動学に問題がある可能性が高いと判断できます。
簡単ですがまとめると
・立ち上がり動作困難で着座動作は比較的上手 → 股関節の問題
・立ち上がり動作比較的上手で着座動作困難 → 足関節の問題
こんな感じに絞ることができます。しかし動作観察一つで問題点を絞るのはかなり危険です。あと1つか2つ検査を実施することをおススメします。
今回の着座動作について軽く確認したい方はこちらをご覧ください。
また興味があればトップダウンの評価についてはこちらをご覧ください。
FRTについてはこちらをどうぞ。
次回は大きい方向転換と小さい方向転換について書いていきます。