brainjack’s diary

解剖学やリハビリなど身体について深く考える。

拮抗筋筋膜の影響と姿勢

「筋膜と筋の運動制御」

こんにちは、脳筋王です。

 

今日は筋膜の解剖学について勉強していきたいと思います。リハビリの中で視点を広げて確かなものを患者様に提供していくため今日も楽しく勉強していきましょう。

・主動作筋の収縮を阻害する筋間中隔。 

・単関節筋は身体部位の安定化を、2関節筋は下の部位が上の部位の位置調整を行う。

 ・最後に復習です。

 

主動作筋の収縮を阻害する筋間中隔 

まず単関節運動を行う際に重要になるのが、主動作筋が収縮し、拮抗筋が抑制されるということです。重力下の運動とは異なります。抗重力伸展活動では拮抗筋の遠心性収縮を用いて動作の制御を行いますので、そことは切り離して考えて下さい。

 

どういうことかと言いますと、主動作筋は起始と停止の付着部を引き寄せて関節運動を起こします。そして動作に対して拮抗筋が動作を阻害しているとしましょう。考えるべきポイントは、拮抗筋はどこの部位を引っ張り動作を邪魔しているのかという話です。

 

少し考えてみます。ストレッチであれば分かります。運動に際して最終域で伸張された筋が動作を邪魔することはイメージしやすいです。

 

しかし筋の運動に対して(脳神経疾患であれば別ですが)拮抗筋が最大伸張位ではないのに起始と停止部から関節運動を阻害する緊張を生みだすことが可能かということです。

 

そして行き着く先が筋間中隔です。

 

肘関節の屈曲で考えてみます。肘関節の外側と内側には筋間中隔という硬く伸張性の乏しい深筋膜が骨に付着する場所があります。この筋間中隔が筋を骨に固定しています。

 

この筋間中隔には主動作筋はもちろん付着していますが、拮抗筋も付着しています。上腕の筋で言うならば、上腕筋と上腕三頭筋が付着しているわけです。

 

つまり筋自体というよりも筋間中隔で主に主動作筋と拮抗筋が影響を及ぼし合うことになります。

 

そしてさらに筋膜から付着部への長さを考えると起始停止の付着部への長軸方向と上腕の幅(短軸方向)だと短軸と言うぐらいですから距離は短いです。

 

筋膜の伸張性は決まっています。

 

前の記事で説明していますが筋膜は三層構造ですので、あらゆる方向への伸張刺激に対応します。例えば1㎝で1㎜伸張するとしましょう。30㎝あれば3㎝伸張できることになります。しかし10㎝しかない場合には1㎝と1/3しか伸張しません。短軸方向の方が伸張しにくいことが分かります。

 

筋膜の構造についてはこちらで確認してください。

 

brainjack.hatenablog.com

 

上腕で考えると拮抗筋が動作を阻害しているとして短軸方向の方が伸張できる長さが短いですからその分動作に抵抗を与えてしまうわけですね。

 

単関節筋は身体部位の安定化を、2関節筋は下の部位に対して上部の部位の位置調整を行う。

 

 

これは筋膜の長さは常に一定であるが重要なポイントになります。この制御の理解は、抗重力伸展活動で説明すると分かりやすいのでそちらでイメージしましょう。

 

バレーボールを行う時の話をします。レシーブを行う時は下肢を軽く屈曲させ、前方重心になりボールが飛んで切るのを待ちます。

 

注目して頂きたいのは下半身です。少し重心が前のめりでつま先重心ではありますが、矢状面から見ると足関節は背屈しており、膝関節は前、足関節と股関節はだいたい同じ線上にあります。重心制御を行う際にとる姿勢ですね。

 

皆さんももしバレーボールをすることになってレシーブするときだいたいこの姿勢になると思います。

 

膝関節が伸展し身体がくの字に折れ曲がった状態でやろうとはしないはずです。

 

 

これを完全に中枢神経だけでは制御できません。なぜかというと中枢神経だけでは反応が遅れてしまうことやバランス制御、数ある関節の自由度の中から最適な関節角度に設定することをいっぺんに制御しようとすると脳がパンクしてしまいます。

 

そのため各関節レベルでは、自動的な反射機構や筋膜や筋によりある程度中枢神経を介さないで制御を行われるようになっています。

 

 

その一つが単関節筋の単関節固定と2関節筋の各部位の位置調整です。各関節の筋が遠心性収縮し筋膜が引き延ばされて筋紡錘とゴルジ腱器官が反射弓を通して自動的に固定性を調整しています。

 

具体的に下肢の筋を挙げますと、大腿広筋群とヒラメ筋などです。

 

 

2関節筋では、上記の反射による制御ともう一つの作用を持ちます。それがある筋が収縮すると複数の関節が影響を受けることになります。こと抗重力伸展活動では活動させる筋の選定は脊髄レベルで命令が出されていますが、その後の姿勢調は脊髄反射レベルである程度自動化されています。

 

具体的な筋を挙げるとハムストリングス(2関節筋のみを指しています)と大腿直筋、大腿筋膜張筋、腓腹筋などです。

 

しかし筋膜レベルでの話になります。本当に関節拘縮や筋短縮を呈してしまっている場合は除き、他の記事に書いてありますが筋膜に受容器が存在することや伸張性の違い(筋膜の方が伸びづらい)から筋が影響するというよりもまず筋膜が制限に関わてきます。

 

そのことを踏まえてここから詳しく説明します。筋膜の長さは少しの伸張を行うことは可能ですが一定です。ある関節で伸張されれば他の関節では短縮されないといけないわけです。つまり膝関節が屈曲すると前面では大腿直筋と大腿筋膜張筋の筋膜は伸張されるので、股関節部では屈曲と軽度外転し短縮位になります。後面では、足関節背屈位になり腓腹筋の筋膜は伸張されるため膝関節部では屈曲し短縮位になるわけですね。

 

このように自動化できる機構を構築することで中枢神経にかかる負担を軽減と動作への反応速度の向上をしているわけですね。

 

画像の話に戻ります。少年はまさにレシーブの構えをとっていますが、反応速度が遅いと致命的ですね。

最後に復習です。

 

大志を抱け」の続きは・・・・・ - 徒然なるまま”僕の趣味と遊ぶ”

「Boys be ambitious!(少年よ、大志を抱け!)」で有名なわが北海道にある銅像さんのクラーク博士です。

 

今回の話から脱線しますが、クラーク博士は、まだ北海道が開拓されていなかった頃に、わざわざ外国から北海道の札幌農学校(現北海道大学)に開拓の指導者として来た方です。北海道で滞在していたのは8か月あまりでそんなに長くないですけど、有名になりました。北広島市にて「Boys be ambitious!」と叫んだら北海道の開拓神と呼ばれる様になったそうです。別に馬鹿にしていませんよ。事実です。

 

この手は「遥か彼方の永遠の真理」を指しているそうです。医学も一緒ですね。分かっている事は氷山の一角にすぎず、また一個人の意識もさらに小さな氷の結晶にすぎないのかもしれません、ですので真理を求めて日々研鑽しないといけませんね・・・。

なんつって(笑)イイ事言ってしまいました(爆笑)

 

コロナで騒がれていますが、落ち着いたら北海道に観に来てくださいね。。。

 

さて、話を戻します。このポーズをみてください。両の足で大地を踏みしめて、上肢を挙上し遥か彼方を指さしています。胸を張り先ほどのスポーツ少年とは違い少し後方重心になっていますね。

 

そしてさらによくご覧ください。体幹は上肢を挙上しているためか野や側屈し、右股関節は内転位、膝関節がやや屈曲しています。

 

 

このポーズをとるには先ほど述べた運動の制御の復習をしてみましょう。

 

この場合ですと、右下肢に着目してお話ししますが、大腿筋膜張筋の筋膜は股関節部で伸張位になり、膝関節部は外反ストレスをを受けているでしょう。そして大腿の内側では内転筋の筋膜が膝関節部で伸張位となっているので、股関節部では短縮位です。このようにしてバランスをとっています。

 

前額面では大腿直筋はこの場合は、股関節も膝関節も伸展位に入っている可能性がありますね。荷重下でこの姿勢保持を行っていると体幹と大腿を下腿の上に固定する役割が大腿直筋に求められるため膝蓋骨と膝関節前面に圧縮力がかかります。

 

例えばこのクラーク博士に工事現場で被る安全第一の黄色いヘルメットを被せてみましょう。するとどうでしょうか工事現場で指揮をする監督のようではありませんか。このように北海道の開拓中に指揮を執っていた場合はとても危ないです。

 

なぜかと言うと全くもって筋膜レベルに問題がなければそんなに気に病むことはありません。しかし今の姿勢は、内転位に股関節があり、外反ストレスも膝関節に加わっているため将来的に疼痛を誘発するかもしれませんね(笑)

 

冗談はこれぐらいにします・・・。しかしこのように今回の内容を実際のリハビリに使っています(いきなり真面目モード(笑))。このように姿勢観察していると案外いろんなことが見えてきますし、いろんな視点で物事を考えられるようになりました。ですので皆さんも是非実際のリハビリ中に姿勢観察をする機会があったら使ってみてください。

 

今回の内容が参考になれば幸いです。これからも楽しみながら皆様にいろんなことを分かりやすくお伝えできればと思います。何かあればコメントして頂けると今後の励みになりますで、気軽にお願いします。

 

 

 

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それではまた!