brainjack’s diary

解剖学やリハビリなど身体について深く考える。

呼吸も食事もこれで解決「頚部前後筋膜のリハビリ」

こんにちは、脳筋王です。

 

嚥下機能低下により食事がとれない人の中には、時に呼吸状態も悪い人もいますね。今回は誤嚥性肺炎を起こしやすく、呼吸状態も悪い、頭頚部もカチカチになってしまっている人に対して行うと有効なリハビリを一つ紹介したいと思います。

 

では症状のチェック項目です。

・腹部正中線付近の筋が硬く、滑走性も低下している。

・脊柱起立筋の中で、2横指以内の範囲で滑走性が低下している。

・口の動きが悪い。開きっぱなしで閉じられない。

・前方が前方突出位になっている。

 

このような人は当てはまる場合があります。ですので引っかかる人で何をやっても改善が図れない場合はやってみることをお勧めします。

 

呼吸状態の確認も行うとさらにいいかもしれません。

まず本人の主観(苦しいか大丈夫か)

SpO2を確認します

呼吸数を確認しましょう。

 

これらの評価すると関係性を確認できます。呼吸との関連についてですが、呼吸補助筋である胸鎖乳突筋の筋緊張と関係します。吸気時に胸鎖乳突筋と僧帽筋、小胸筋が働き胸郭を無理やり拡張します。そしてその後筋緊張は亢進したままのため胸郭を狭小化できないのです。

 

呼気の時に呼吸介助を行うと治療成績が良くなります。だからよく呼吸は呼気から始まると言われているのではないかと思っています(個人的な意見です)。

 

話が少し逸れてしまいましたが、胸鎖乳突筋は前面の筋の筋膜ラインの起始にあたります(SFL)。詳しくはアナトミートレインみてください(今度紹介するかも・・・)。

 

前方の筋膜は上唇で収束、そして下唇から前面の筋膜を下降していきます。つまり口を上下に走行しているためこれらの筋膜に筋緊張の亢進やら滑走性の低下やらがあると動きが悪くなります。胸鎖乳突筋の筋緊張亢進は頭部伸展と頚部屈曲位にあるときさらに増悪させます。これにより舌骨下筋が下方に舌骨を引っ張ります。その結果さらに上にある顎二腹筋が下顎を引っ張り口が開いた状態になります。

 

頚部の筋を触るのは緊張しますね。しかし動きのない頚部を触っても重大なミスにつながることは少ないです。無理に動かしたら危ないですけど・・・。そこは常識的な対応をお願いしますね。

 

・つまりこの中で重要なことは前面筋の筋膜ラインであるSFlの胸鎖乳突筋の筋緊張亢進は呼吸時に吸えるけど吐けない状況を作ります。

 

・そして頭部前方突出位は下顎を引っ張り口を開口位にして、閉じることを困難にします。

 

・嚥下時の舌骨の運動の阻害につながり誤嚥のリスクを高めます。

 

 

では僕がオススメする実際のリハビリを紹介します。

まず患者様を背臥位で寝かせます。筋緊張が亢進しないようにまっすぐに寝かせましょう。場合によってはポジショニングを行ってください。ここから手技についてです。

 

①頭頚部の屈曲可動域を確かめましょう。もしくは口の動きをみます。

②後頭隆起の左右に指を当ててください。

③もう一方の手の平を胸部中央に置きます。

④胸部の方の手で胸部の筋膜を軽く圧迫し下方へ滑走させます。

⑤後頭隆起に置いた指で筋の滑走を確かめる。

⑥頭頚部の可動域を再度確かめましょう。または口の動きをみます。

 

詳しい説明していきます。

 

1つ目の後頭隆起に指を置く理由についてです。

後頭隆起は前方の筋膜が頭頂を通って後頭隆起に流れます。さらに後頭隆起から胸部背側へ筋膜が奏功しています。つまり後頭隆起を起点に前面と後面に筋膜が滑走しているのです。

 

2つ目に胸骨前面に手を置く理由です。

先ほど説明した前面筋の筋膜を胸骨中央を通り骨盤の方まで進みます。最初のチェック項目の嚥下と呼吸についての部分で胸部の動きが悪くなることに直接的・間接的に起因するためです。

 

さらに目的とする場所の隣接したところの動きを改善することで間接的に筋緊張を改善することが可能です。むしろ筋緊張の亢進した場所をいくらマッサージやらストレッチやらをしてもあんまり効果ないです。

 

もう一つ重要なこととして、胸郭から下部頸椎の屈曲位を改善し最後に上部頸椎と頭部の伸展を改善する方が頭部の向きが改善されやすいです(単純に)。

 

実験してみましょう。

自分で頭部前屈位にしてみてください。そこから胸郭と下部頸椎を固定したまま、頭部の屈曲を行ってみてください。できないと思います。

 

しかし胸郭と下部頸椎のアライメントを先に修正してみてください。その後頭部の屈曲を行うと簡単にできます。治療するときも一緒です。ですので頭部の向きを修正したい場合は下部から修正することをオススメします。

治療前後に頚部の動きや口の動きを確認するのは治療効果を確認するためです。治療効果は筋の触診とともに少しでも客観的なもので判断しましょう。

 

以上で今回は呼吸と食事の際の嚥下についてなどを中心に書いていきました。気になるところや葉からわからないことがあれば聞いてください。