股関節外側の痛みの原因と対応。外転筋と関節の関係について
こんにちは、脳筋王です。
暖かくなってきました。天気の良い日は外を歩いて散歩でもしたいですね。できませんけど・・・。今年中にコロナが落ち着くといいですね。
今日のテーマは股関節の外転と外旋についてです。立位姿勢や歩行などに重要になります。
1、股関節外転メカニズム
歩行時には、前額面の大腿骨頭上での骨盤の制御は大事になります。この安定性を確保するのが外転筋ですね。
この「安定性」って何でしょうか?いまいちピンと来なかったので少し調べてみました。すると骨盤と大腿骨の間の安定性とは臼蓋に対する大腿骨の圧迫力(以下関節応力とします)のことだと分かりました。
この関節応力の大部分を作っているのが外転筋モーメントです。
面白いことに外転筋のモーメントアームは体重のモーメントアームの半分しかありません。ですので股関節を平行にしようとすると股関節外転モーメントは2倍必要になります。つまり立位姿勢を保つだけで体重の2倍の関節応力がかかることになります。
単純に安定性が2倍になるわけではありませんが、それだけ立位姿勢を保つには外転筋モーメントが必要ということになります。
しかし、股関節のにそれだけの関節応力がかかると関節が破壊されることが懸念されますが、この関節にかかる負担は関節軟骨と海綿骨でうまく吸収するらしいです。
2、股関節外転筋の筋発揮について
股関節のMMT(徒手筋力検査)では股関節最終域で検査しますね。だいたい股関節外転40°ぐらいで検査します。
股関節外転筋力は内転位で腸脛靭帯の緊張が増加することもあり、最大の筋発揮をします。
そして股関節は外転位になるほど筋発揮しづらくなります(筋の短縮位になるため)。
つまりMMTの肢位は筋発揮しづらい肢位で検査していることになりますね。それも頭の片隅に置いておいて検査した方がいいですね。
3、痛みと外転筋力
股関節の痛みや不安定性は股関節外転筋の強い収縮を避けます。強く収縮していしまうと股関節にかかる関節応力が増大し痛みの増大につながるからです。ですので自然に抑制され、廃用性に筋力低下を起こします。
股関節外転筋力の低下を伴いますが結局痛みに対してアプローチしないとだめですね。そうしないとリハビリを受けてない期間に筋力低下して予後がよろしくないので・・・。
保存療法を選択した場合は、杖を使用したり、荷物を運ぶときに注意が必要です。
T字杖は対側に持った時と同側に持った時では少し効果が変わります。
その前にT字杖について少しおさらいです。T字杖で免荷可能な重量は体重の6分の1までです。
T字杖はそもそも自力で歩ける方が適応になりますので、自力で歩けない方は4点杖をしようしたり、シルバーカーを使ったり工夫が必要です。今回はT字杖について書いていこうと思います。
対側に杖を持った時は股関節の関節応力を少なくすることができますので、痛みに対しては有効です。
同側に持った時は股関節外転筋の筋力の代償になります。しかし関節応力の減少にならないので痛みの解決にはなりません。
4、リハビリ
リハビリとしては、炎症には薬物療法を行ったり、物理療法で痛みを軽減したりします。その後さらなる筋力低下を防ぐため日常生活活動レベルの動作練習を行ったり、有酸素運動を段階的に行ったりします。
さらに荷物を持つ場合は、上肢で持つと股関節外転筋の筋力をさらに必要とするため関節応力の増加につながります。また杖を持っている場合は、杖との兼ね合いも大事になります。
そのように股関節に痛みがある方は、バックパック(リュック)を持つなどの対策をとるといいかなと思います。
くわしいリハビリのやり方については他の記事に少し載せてありますのでそちらを見てください。
最後に股関節周囲の筋力の順番について書いておこうと思います。筋力測定を行う時に基準として持っておくとリハビリを行っていくときに問題点の優先順位を付けやすくなります。
まず一番筋力が大きいものから順に書いていきます。①伸展筋、②屈曲筋、③内転筋、④外転筋、⑤内旋筋、⑥外旋筋の順です。
覚えておくと便利です。
5、まとめ
・股関節の外転筋の筋活動は関節応力を増加させ臼蓋に骨頭を引き付けて股関節の安定性を向上させます。
・MMTの肢位は外転筋力を発揮しにくい肢位であることを考慮して検査する。
・関節応力の増大は痛みにつながり、痛みを避けるために外転筋の筋発揮を減少させることで痛みを軽減します。
・痛みを避けるようになると外転筋が廃用性の筋力低下を起こします。
・痛みを軽減するにはT字杖を対側に持ち関節応力を少なくすると痛みが軽減します。
6、あとがき
さて今日もリハビリで使える情報を少し書いてきました。以前から知っていた方にはもの足りない内容となっていたかもしれません。
知らなかった方は、股関節の関節応力という概念で痛みについて考えて評価と治療を行うとまた違った視点で効果的なリハビリを行うことができるようになるかもしれません。一緒に頑張っていきましょう。