brainjack’s diary

解剖学やリハビリなど身体について深く考える。

足関節を使った骨盤アライメントの治療

 こんにちは、脳筋王です。

 

 臨床を行っていく中で誰から見ても股関節付近に大きな崩れ(問題点)がありそうな症例に対して足部からのアプローチを立案するのってカッコよくないですか?

 

 もちろん疾患(股関節付近を怪我した場合など)によっては、原因部位へのアプローチが必要になるためしっかりと評価する必要があります。

 

 しかしそれを踏まえた上で、結果として生じている関節運動の問題点を運動連鎖を使って離れた部位にアプローチして動作獲得につなげるための方法を書いていきます。

 

【運動連鎖の流れ】

 まず運動連鎖について書いておきます。知っている方は飛ばしてください。

 運動連鎖とは、ある関節の動きに伴って他の関節が動き、それが全身の姿勢に影響する動きの流れのことです。

 

 運動連鎖には、上行性の運動連鎖と下行性の運動連鎖の2つがあります。

 上行性の運動連鎖とは、足部の動きから骨盤や体幹に影響する姿勢変化の流れのことを言います。下行性の運動連鎖は体幹や骨盤から下肢へ流れていきます。

 

さて、では上行性の運動連鎖で具体的な流れを細かく見ていきます。

 ①足指が伸展し広がる

 ②内側縦アーチが下降

 ③足部が回内(内側に転がる)

 ④下腿骨が内旋(内側に回る)

 ⑤大腿骨が内旋(内側に回る)

 ⑥股関節は前方回旋(前方へ位置が移動)と前傾(前に倒れる)

 ⑦腰椎は前弯(後ろに反り返る)と同側へ側屈

 ⑧胸椎の後弯は減少(小さくなり)

 ⑨頸椎は伸展(首が天井に向かって伸びる)

 

 両方の下肢で行われると、いわゆる姿勢を正した姿勢になります。

 

 

【今回のポイント】

 ここで重要なポイントが2つあります。

 

 一つ目が末梢の運動連鎖(足に近い部分)は、体幹や頚部に影響を与えにくい(与えないわけではない)ことです。

 

 その理由としては、他の運動連鎖によって相殺されることがあるからです。

 

 これはバランスのとり方や片麻痺の影響、外傷などの影響で運動連鎖の流れが断ち切られてしまい、下肢からの流れの邪魔をすることで起こります。

 

 

 二つ目が、足部の動きが低下する(悪くなる)ことで骨盤の動きも低下する(悪くなる)ということです。

 

 よく立ち上がり動作の指導を行う際に骨盤の前傾(前方へ傾ける)指導を行いますが、足関節の動きが制限されている場合、運動連鎖がうまく機能しないため骨盤の可動域や筋力があっても動作の中で行うことが困難になります。

 

 では具他的に立ち上がり動作を例に挙げてみていきましょう。

 

 立ち上がりの際には足指は広がり、内側縦アーチが降下することで荷重を受ける状態になります。

 

 次に足関節背屈(足背に向けて足首が曲がる)、下腿は前傾と内旋し重力に対して垂直位になります。垂直となることで荷重できる状態になります。

 

 下腿の動きに伴い大腿が内旋し、大腿骨頭が下降(前捻角があるため座位では、外旋位で天井側を向いている)、骨盤が前傾する。

 

 それぞれの運動には意味があり、この要素が全てクリアされないと正常と呼ばれる運動にはなりません。

 

 つまり、足部の動きが制限されると運動連鎖の流れが作れないことや荷重を受けられる足部の姿勢にならないため動作困難になります。

 

【臨床での応用】

 ・動作を行った際の介助を行う。

  例えば立ち上がり動作を行う際に足部の回内(内側へ回す)を誘導してみます。

  このときに下腿骨や大腿骨に上記で説明した運動連鎖がうまく流れていくか確認 

  します。

 

  もし流れが改善される場合、動きを自身でできれば一人で立てるようになるという

  ことになります。そこが治療対象というわけです。

 

 このように動作で介助を行い運動連鎖が機能するかどうかで評価や治療を行うようにしていくとよいのではと考えます。

 

 

 また少し話が変わりますが動作指導の際は、リハビリを受けている側には一つのことに意識を向けてもらうようにしましょう。

 

 男性は特に脳の作り上2つ以上のことが困難な方が多いので何個も指導されると混乱して一つもできないなんてことも起こりますから。

 

 これは様々な条件の中で運動連鎖不全が原因で起こる動作障害について有効なものになります。

 

 関節障害が著しい症例(重度の円背)など関節が動かないけど筋収縮を促したい場合なども有効です。

 

 今回の記事が明日からの臨床の参考になれば幸いです。