brainjack’s diary

解剖学やリハビリなど身体について深く考える。

ポジショニングから展開するリハビリテーション

こんにちは。日々臨床をしていく中で気が付いたことを紹介するブログです。皆様の臨床のヒントになればと考えております。

 

 時間の無い方は太文字の部分だけ読めば内容を把握できるようになっています。どんどん飛ばして読んでください。

 

今日は両側性肺炎で入院された患者様に対してリハビリテーションを実施しました。その時に気が付いたことを紹介したいと思います。

 

今日のテーマはポジショニング×感覚入力×動作練習です。

 

ポジショニングを行う目的

 僕は臨床の中で筋緊張の軽減のためによくポジショニングを行うことが多いです。今回も両側性肺炎の患者様の筋緊張の亢進を確認し、原因を評価し動作練習につなげていきました。

 

ポジショニングを行う目的は筋緊張の軽減とリラクセーションと疼痛軽減などがあげられます。

 

そして筋緊張を軽減することで関節可動域は拡大し疼痛軽減や筋発揮の向上などの恩恵を受けることができます。最大パフォーマンスで動作練習を行うために必要になると思います。

今回の介入は40分でした。今回行った評価から治療までの40分間の流れについて書いていきます。

 

症例紹介

両側性の肺炎で、既往歴に脳血管疾患を有しており上肢は屈曲パターン、下肢は伸展パターンをとっています。ステージは3レベルです。

全身的に筋緊張は亢進しており、股関節屈曲時には疼痛を有します。

 

評価

・嚥下機能障害

・全身筋緊張亢進から関節可動域制限

・左股関節屈曲時に疼痛

・本人より左半身の感覚鈍麻

・起き上がり動作は全介助レベル。立ち上がり動作、中等度介助レベル。立位保持中等度介助レベル、移乗動作、中等度介助レベル。

 

ここからが重要かな・・・。

まず筋緊張亢進の原因を探ります。

評価のポイントは、胸郭運動と股関節屈曲時の疼痛の変化です。

胸郭運動の拡大のために肩甲帯や骨盤などにタオルなどで支持性を変化させて筋緊張の変化をみて行きます。

結果左半身へタオル挿入を行うことで筋緊張は軽減し他動運動時に可動域の拡大と抵抗感の低下が認められます。

 

しかし股関節屈曲運動は抵抗感が認められた。そのためさらに骨盤の感覚入力を増加させるため、左股関節屈曲時に骨盤部へ押し付けて屈曲運動を行ってみたところ可動域の拡大を認めました。

 

大腿骨頭と臼蓋のアライメント不良も考慮しますが・・・。

 

評価結果として左半身への感覚鈍麻から不安定感を呈し、安静時筋緊張が亢進していると推察しました。

 

次に肺炎に対する対応として咳嗽反射時のパフォーマンスの評価として、筋緊張を検査します。

ポイントは僧帽筋上行線維と大胸筋、腹直筋、脊柱起立筋、呼吸運動時の胸骨の動きです。

 

まず正常な呼吸を行っているとき胸骨は体幹に対して平行に運動します。しかし胸式呼吸を行うと僧帽筋上行線維と腹直筋が働きます。そして胸椎は前傾します。逆に腹式呼吸を行う場合は大胸筋と脊柱起立筋が働きます。そして胸骨の動きは後傾します。ですので筋を触診し、胸骨に手を当てて動きを観察することパターンをいることができます。

この患者様では腹式呼吸を行っていました。これは正常の運動ではないため咳嗽運動のパフォーマンスは低下すると推察しました。

 

介入のポイント

・関節可動域練習

関節可動域練習は左半身へタオルを挿入し支持性向上と感覚入力を増加させて実施します。

胸郭の運動は体幹の左回旋により左肩甲帯への感覚入力を意識して実施。股関節屈曲は屈曲時に骨盤部をベッドへ押し付けながら実施

 

左側から起き上がり介助

関節可動域練習により可動域の拡大が図れたのち、あえて左側から前回ので起き上がりを行い左半身への感覚入力を増やしながら大きな身体重心を伴う運動を

咳嗽の出力を向上させるために胸骨が体幹に対して平行に近づくように介入します。

 

立ち上がり動作では左膝固定と左骨盤部前傾介助、立位後の足部への荷重促しを実施しました。

 

介入後

結果として

・介入中の流延なし

・臥床時と車椅子乗車時の筋緊張軽減

・車椅子乗車後の疼痛訴え無し

・立位保持の右下肢の筋出力の増加

 

これらが得られました。今後繰り返し練習を行うことで最終的にはADL動作の改善につながっていくと思われます。

 

今回のポイント

動作の獲得と原因疾患に対する対応を一回の介入で行うことは時間が足りなかったりしますよね。僕も代行で今回が初回であったため評価と治療を一緒に実施したこともあり時間に追われました。動作と原因疾患に共通のポイントが見つかれば介入が効率的になったり、時短になったりするので見つけていく視点が大事だなと改めて思いました。今後も意識してリハビリを行っていこうと思います。

 

また筋緊張亢進している部位に対応することで他の部位のパフォーマンスにつながるため無視できないなと思います。運動連鎖しますし、筋膜や筋もつながっていますから・・・。

 

重要なことはベッド上から積み上げて最高のパフォーマンスを離床後、立ち上がりや歩行などに生かしていく必要があると思います。

 

また介入のポイントを決めたら一貫して全ての介入に取り入れていくべきだと思います。

 

今回は感覚入力に着目し、本人の不安感を生じさせないように介入プランを立ててみました。もしも似たような症例をお持ちでしたら是非評価と介入に取り入れてみてください。

 

またご意見やアドバイスがあればよろしくお願いします。ではまた。