brainjack’s diary

解剖学やリハビリなど身体について深く考える。

理学療法評価と治療、トップダウンで考えるには。

 

 今回は前にオンラインの勉強会に参加する機会がありました。その時に教わったことを自分なりに解釈して皆さんに紹介したいと思います。

 

はじめに

 われわれは臨床経験が長くなるにつれて評価をすっ飛ばしていきなり治療介入を行ってしまうことがあります。治療を行う上で重要なことはもちろん改善が得られることです。時々評価しないで治療を行っていても、改善が得られることはよくあります。しかしその場合は改善出来る症例と改善が得られていない症例が生じてしまう可能性があることや自分の成長につながらないため評価を行う必要がありますよね。

 

 僕はよくあったのですが、実習生を受け持ったときや引き継ぎ業務を行っているときに思うのですが、前に成功した治療にこだわったり、治療対象としている部位が偏っていたりすることに気付くことが多くなります。

 

しかしボトムアップで評価し治療では、日々刻々と変わっていく患者様の様態に対応することが困難でるため、トップダウンで評価し治療につなげることが必要になります。

 

トップダウンで評価して治療につなげるために必要なものとして

①問診、②動作観察、③理学療法評価、④問題点決定

 

ひとつひとつ確認してみましょう。

 

①問診

 

問診の目的としては、症状が出現した原因を見つけることや既往歴などの確認、症状がでる時間帯など普段の生活の困っていることを聞きます。

 

②動作観察

 

 動作観察を行うときに注目するポイントは、代償と原因の視点で観察を行うことです。そして運動連鎖(原因・代償)やカウンターウエイト(CW・代償)、カウンターアクティビティ(CA・代償)、カウンタームーヴメント(CM・代償)かなと思います。

 

 例えば片脚立位をイメージしてください。前額面から見まして肩峰が最外側、次に骨盤、坐骨の下に踵という風なアライメントになります。骨盤はやや対側傾斜しています。例えば胸郭に硬さがあり、最外側へ移動できないとしましょう。CWとして骨盤が外側に移動したり(お尻が外にで出る姿勢)やCAとして腰背部筋の過緊張を引き起こしたり、CMとして同側股関節が外転して体幹を傾けていたり様々な反応が生じます。

 

理学療法評価

 

 この反応に対して各関節可動域を測ったり、筋力をみたり、感覚を確認したり、筋緊張触診したりして問題点をしぼります。この検査は特殊なものでなくていいと思います。

 

④問題点の決定

 

 この段階で行った検査で問題がなかった場合は、もう一度動作観察に戻ります。問題があった場合のみ治療に移りましょう。

 

 問題点は機能レベルに落とし込む必要があります。つまり何関節可動域制限とか何筋の筋力低下というように断定すること。そのレベルに至らずに腹筋群とか股関節伸展筋とかアバウトな表現になっているうちはまだ問題点をしぼり切れていません。もう一度評価に戻りましょう。

 

治療

 

治療をする場合は、何か所もいっぺんに治療するのではなく、1か所に集中したメニューにすることが最も重要です。

 

 なぜか?それは例え問題点が3つあったとしてもそれらは代償や根本原因、共通した崩れの原因となっているため、1か所の治療が関連した他の2つへ影響を与えます。そして時間的な効率を考えても1単位で治療が完了するレベルを目指していくことで、外来リハ担当になった際も治療を円滑に行うことができるようになるはずです。常に時間的意識を強く持って治療に臨みたいところです。

 

おわりに

 

治療までの道のりで必要なことは

・圧倒的な解剖学的知識(関節・筋・高次脳機能など)

・正常な運動学(運動連鎖・各基本動作)

・絞り込むための正確な理学療法評価

 

 これらの知識を磨いていくことが将来的に選ばれるセラピストになるには必要になるのではないでしょうか?

 

 僕も毎日解剖学の教科書とにらめっこしてますよ(笑)。みなさんも一日5分でもいいので基礎的なものを学んで一緒に選ばれるセラピストになっていきましょう。