brainjack’s diary

解剖学やリハビリなど身体について深く考える。

筋膜の形成と機能変化

筋のグループ化と筋膜形成の影響

 筋膜単位の進化について

 

  • 進化と機能変化 
  • 運動による進化の過程
  • 筋膜レベルの進化
  • 運動単位の生理学
  • まとめ
  • リハビリの場面に生かす

 

 

進化と機能変化 

これらについて今日は書いていきたいと思います。

こんにちは、脳筋王です。

それぞれの機能が最初どのようにして発達したのかを理解することで、その機能が持つ根本的な役割が分かります。かの偉大なチャーチルダーウィンも言っています。

「世代を超えて伝わる変化」について筋膜レベルで考えていこうと思います。また見出しに進化と書きましたが、ダーウィンさん的には間違いと怒られそうですね。

 

いつものように少し脱線したいと思います。ダーウィンの唱えた環境適応の形として、変化個体変容の自然選択は安定性選択と方向性選択の2種類があります。

簡単にいうと安定性選択は種の平均値にある個体が最強、一番生き残り数を増やす。方向性選択は、飛び抜けた身体能力最強、人生勝ち組。この遺伝子を持った個体たちが生き残り現在の生物に脈々と受け継がれているのです。これが進化論ですね。

 

この2つの選択によって子孫が繁栄して現在に至る。そして逆をいうと進化の裏で淘汰されていく機能もあったわけですね。つまり現在も残っている機能は環境に適したものとして判断できるわけです(これが言いたかった(笑))

 

話をもとに戻しましょう。繰り返しになりますが現在の組織が引き継がれているということは、生きる上で最適な機能であったと言えるでしょう。残存し受け継がれた機能は時間を経ても役割は現在も残存していることが多いです。ですから、もともとの役割を理解することは現在の機能を深く理解する上で大事になります。

 

運動による進化の過程

最初生物は側屈しかできませんでした。運動のコントロールはなく、ただその方向にある筋肉たちが収縮して体節が曲がるだけのものです。

 

その後獲物を捕獲するために泳ぐことを覚えて側屈を左右に繰り返すようになります。

獲物を口で捉えるため顎が発達、さらに獲物に顔を向けたくなり頚部の筋が発達します。

 

そして手で獲物を捕まえるようになり上肢機能、陸に上がるには重力に抗した支持性を必要とし、体幹・下肢筋の発達もされていきます。

 

運動といてこんな感じでしょうか。みなさんはご存じの方も多いと思います。今回お伝えしたいのはこの後からです。

 

筋膜レベルの進化

 

次に筋膜レベルで見てみましょう。最初の原始的な側屈レベルの運動を行っていた時は、各筋が筋節というもので仕切られていました。筋節によりいくつかの筋が連結しており、それがいくつも横に並んでいる状態です。イメージとしては、串に刺さった団子が横に並んでいる感じです(わかりにくいかなぁ・・・)。筋膜による区切りは細分化されていないため運動方向にある筋はすべて同時に収縮します。

 

右向け右と支持すると全てがそちらを向く感じですね。そこに加減はなく、目標の距離が近かろうが、移動する方向が微妙にズレていて調整が必要であろうが関係ありません。ただそちらに向けって常に全力100%で収縮するだけです。

 

そこから筋間中隔が形成され、それぞれの筋が6つの運動方向分化し、それぞれを筋膜が包みます。それぞれの間を筋周膜が包むために筋間は延長されていきました。これで自由な方向へ筋収縮を行うことが可能になりました。

 

先ほどの話に戻りますが、速度や力加減はこれだけでは難しいですが、何とか運動する方向を決められるようにました。

 

つまり筋を分けることで収縮方向は細分化されました。しかし力加減はまだできません。

 

筋周膜の外側を筋外膜が包み、筋紡錘やゴルジ腱器官という筋の収縮調整機関を形成。1つ1つの筋には筋紡錘が形成されて初めて運動単位を持ちました。

 

こうしてようやく力加減を覚えることができました。

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運動単位の生理学

筋周膜は運動単位の活動に重要な役割がそれぞれあります。筋外膜に筋紡錘とゴルジ腱器官が存在することはすでにお伝えしています。深筋膜と筋外膜が連結しその下に筋周膜があり、筋線維の運動は深筋膜を通して全身の運動の方向性を決めて、最終的に特定の動作を導きます。

 

筋線維を包んでいるのが筋周膜です。筋線維の収縮は筋周膜を通して筋外膜に伝えられます。筋外膜の協調中心にを作る。この協調中心から筋紡錘とゴルジ腱器官の刺激を受け取ります。運動単位には多数の筋紡錘とゴルジ腱器官をもっています。

 

つまり繰り返しになりますが、筋線維の収縮を筋紡錘に伝えるには筋外膜に協調中心の刺激を集める必要がありそのためには筋周膜が必要ということです。

 

 

このことから運動神経の同期化は、中枢神経ではなく末梢神経で行っていることが分かりますね。

 

そして1つ一1つの運動単位は全か無か法則により収縮か弛緩かしかないものですが、運動の方向を決めて角度調節した巧緻動作を可能にするということです。

 

重要なことを最後にまとめておきましょう。

 

  • 魚からヒトへ進化する中で筋膜構造が形成されて運動方向が細分化された。
  • 運動制御(運動方向の決定と力加減)には運動単位の同期化が必要。
  • 運動単位の同期化には筋紡錘の活性化が必要。
  • 筋紡錘の活動は筋外膜の協調中心への筋膜の集約が必要でありそれを導くのは筋周膜である。

 

 

リハビリの場面に生かす

運動前のストレッチの有無について考えてみましょう。普段運動をあまりしない患者様がリハビリを行う時にストレッチをすると思います。このストレッチにどんな意味がありますかの回答が非常に細かく専門的に説明できますね。

 

最近筋トレ前にストレッチをすると筋出力が低下すると言われており、軽くリズミカルな運動を準備体操で行いましょうと言われていたりします。

 

では活動性の低い患者様であったり、同じ姿勢でずっといられる患者様の場合はどうでしょうか。ストレッチの優先順位は下がり、いきなり軽い運動から始めますか?

 

たいていはストレッチしますね。ストレッチしろと言いたいわけではないのでそこはそれぞれで。

 

ストレッチする理由としては痛みが出たりするからストレッチしてもらった後の方が動きやすいからという理由が多いのではないでしょうか。活動量が低いまたは同じ姿勢でずっといる方の筋はそれぞれの膜構造の間で癒着しています。つまり滑走性が低下するということです。

 

滑走性の低下は協調中心の収束を阻害しますね。ということは筋紡錘に適切な刺激が入らずに、運動単位の同期化に支障が出ます。そのため本来行いたい動作の巧緻性が落ちたり、筋出力が低下したりするので、結果として動作のパフォーマンスを下げてしまうことにつながります。

 

ですので現在の最大パフォーマンスを発揮してもらうためにストレッチしてますと言えたらカッコよくないですか?

 

まあ言葉で語ってもあまり理解されないでしょうけどね・・・難しいからね。

 

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以上が今回の内容となります。今日は比較的終始まじめにお伝えしていったと思います。これからも少しずつ皆さんに有益な情報をお伝え出来たらと思いますのでよろしくお願いします。