brainjack’s diary

解剖学やリハビリなど身体について深く考える。

筋膜由来の痛みについてまとめ筋膜マニピュレーション基礎

協調中心の偏りによって生じる様々な歪みと歪みに伴う痛みについて

 

 以前まとめた記事の総集編です。細かなところはリンクを貼っておきますのでそちらで確認してください。ではさっそくいってみましょう。

 

目次

  1. 関節運動の方向の歪みから生じる痛み
  2. 放散痛と圧痛のしくみ
  3. ゴルジ腱器官の機能低下からくる痛み
  4. 運動への関わり
  5. ストレッチする部位

 

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 こんにちは、脳筋王です。最近僕が勉強していた筋膜の痛みについて、まとめ記事を作成しました。一つ一つを説明を簡略化したものを一つにまとめていますので、少し分かりにくかったり難しかったり、説明が不足している部分も多いかと思います。そういう時は一つ一つの記事を確認し理解を深めてもらえばと思います。

 

 なおストレッチについての項目はストレッチは何のために行うのかということを書いており、手技について解説しているわけではありませんので予めご了承ください。そちらについては今後詳しく解説していく予定となっています。

 

関節運動の方向の歪みから生じる痛みについて

 筋膜内での協調中心の偏りが、正常な協調中心の収束を邪魔します。偏った協調中心からの牽引力は、生理的な関節の運動方向から逸脱した方向へ関節を引っ張ります。異常な方向への牽引量は関節構造体に負荷をかけてしまうため痛みを出現させます。

 

 またこの時に錘内筋線維は伸張されることで筋緊張が亢進した状態になります。錘外筋も筋紡錘の働きによって収縮しますが、錘内筋線維から伝達された収縮信号に必要な錘外筋線維の収縮が得られないとき、錘内筋線維と錘外筋線維にズレが生じてしまうため痛みを出現させます。

 

 関節の運動方向が逸脱した際に無理やり方向を修正しようとして他の筋膜単位の収縮が出現します。この時の過剰な他の筋膜単位の収縮も痛みにつながります。

筋膜単位の話はコチラの記事をご覧ください。

 

brainjack.hatenablog.com

  このようにして運動方向のズレは生じいてそれに起因する痛みを引き起こすことになります。

 この解説についても過去に記事がありますので、合わせてご覧ください。

 

brainjack.hatenablog.com

 

放散痛と圧痛のしくみ

 放散痛とは神経が圧迫された時に患者様が「電気が走るような・・・」とかいう痛みのことです。

 協調中心の偏りは、痛覚の感受性を高めます痛覚の閾値が低下)。協調中心の偏りは、筋自体の弾性も低下します。筋自体の弾性力の低下は、筋に圧迫を加えたときの皮膚から筋膜へ伝わる圧をうまく逃がせません。逃がしきれなかった圧力は自由神経終末に刺激入力が入り痛みを発生します。これが放散痛になります。筋の痛覚の閾値低下と粘弾性低下から神経に圧力が伝わりやすい状態であることから少しの刺激にも放散痛を生じるようになります。閾値が低下は反射的な筋収縮を起こしやすくなり筋緊張が亢進した際も痛みを生じます。

 

 こちらの内容についてはコチラの記事も合わせてご覧ください。

 

brainjack.hatenablog.com

  そして協調中心の偏りの慢性化は、慢性的な変性を生じ慢性的な疼痛を生じさせるようになります。偏りの慢性化=疼痛の慢性化。

 

ゴルジ腱器官の機能低下からくる痛み

 ゴルジ腱器官が正常に機能していない場合も痛みを出現します。ゴルジ腱器官が正常に働かなくなる原因も協調中心の偏りが原因になります。まあ、筋膜マニピュレーションの教科書で勉強を勧めていますので筋膜由来であることは分かってますけどね。重要なことはなぜ筋膜の歪みが生じると痛みにつながるのかということだと思います。そちらを勉強することを主に行っていきます。ここまでの話は記事にしていますので、

 気になるところはコチラを確認してください。

ゴルジ腱器官についてはこちらの記事になります。 

 

brainjack.hatenablog.com

 

 ゴルジ腱器官の機能が正常に機能していないときは、関節の不安定性や運動時の関節の硬さを感じることがあります。この関節の不安定性や硬さもゴルジ腱器官の機能を改善すると痛みと同時に改善がされることがあります。合わせて記事を見ていただける助かります。関連記事は、上の記事になります。お間違えないように・・・。

 

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運動時への関わり

 協調中心の偏りは、痛覚の閾値の低下します。この閾値低下によって運動時痛も出現します。

 

運動時の痛みの発生メカニズム

 脳からの指令は筋紡錘へ伝達されます。この時筋紡錘の筋腹部は伸張されます。筋紡錘が伸張されたのち、筋紡錘から錘外筋線維に伝達されます。筋収縮は、深筋膜が関節構造体へ伸張刺激が伝導されます。伸張刺激による総和が痛覚の閾値を超えたときに関節に痛みを感じます。

 

 運動時にも筋紡錘が伸張されることが重要ですね。筋紡錘の末端に近い部分は収縮されますが、中心部(ここでは筋腹部と呼んでいます)末端に引っ張られて伸張されていることで錘外筋線維に収縮命令が発令され、筋活動が生じるわけですね。閾値の低下と運動方向のズレから過剰なストレスが加わり閾値を超えてしまうことで痛みにつながるのです。

 

筋膜の巧緻性への関与

この巧緻性を理解するためにまず筋膜の進化を振り返ってみましょう。最初は筋節という

 筋紡錘もゴルジ腱器官も存在しない筋が独立したものの集合体でした。右に収縮するときは右側にある筋を全てが全力で収縮することしかできませんでした。方向の調整も力加減もできません。全か無かの法則ですね。全力で収縮した後は全力で弛緩します。

 

 そこから筋間中隔が形成され、筋膜単位に分けられました。筋膜単位に分かれたことで運動方向の調整が出来るようになりました。さらに筋は筋周膜に包まれ、筋外膜には筋紡錘が形成されました。さらに細かく筋内膜で包まれそれぞれを運動単位として区分けしました。そのいくつかの筋線維をゴルジ腱器官が巻き付き運動の力加減ができるようになりました

 

もう少し詳しい内容はコチラをご覧ください。

brainjack.hatenablog.com

 

 協調中心が収束できないと力の調節や運動方向のコントロール、巧緻動作ができないため、正常な協調中心の収束(筋紡錘の機能・ゴルジ腱器官の機能が含まれる)が大事になります。

 

ストレッチをする部位

 問題の起点となっている部分が協調中心の歪みです。さらに広く言うと筋膜の滑走性と歪みを改善するためにストレッチを行います。

 

 実際に見た目上ストレッチをする部位は一緒になるかと思います。しかし実習生の時などは筋肉自体を伸張させるため実施していたのではないかと思います。それも悪くないとは思います。実際に筋自体の短縮や廃用症候群の筋というのは筋自体の架橋結合が増加し筋自体の伸張性が低下していることは昔から知られていることですね。

 

 それにプラスして筋膜についても伸張性の改善であったり、協調中心の偏りの改善であったりというところに向けていきたいですね。理由は、筋膜の機能異常が起こると筋紡錘やゴルジ腱器官の異常を通じ痛みを生じることや運動時に不安定感、関節の硬さにつながること、運動のパフォーマンスの低下につながることがあるためです。

 

 そして認知中心となる関節の痛みを要素分解してみると関節構造体に付着している筋膜が刺激の総和で痛み刺激を脳へ伝えています。

 

 患者様の「なぜ痛いか」や「痛くてつらい」という問いに対して「筋肉が・・・。」に加えて「筋膜の・・・。」という身体の全体の問題として話ができると動作観察との結びつきからさらに専門的な運動療法の指導や再発予防というところまで話ができるようになるのではないかと思います。

 

 僕もそういった話ができるように、そしてもっと視野を広げて患者様を評価治療できるようになるために勉強していき、皆様にお伝えしていけたらと思います。

では今日はこれくらいにします。それではまた。

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