brainjack’s diary

解剖学やリハビリなど身体について深く考える。

痛みを生む関節のズレの原因を解説

 今日のテーマは、「疼痛は、非協調的な活動が正常な関節運動方向から逸脱を生じさせて関節構造体より生じる。」です。

ちょっと難しめに書きましたので何のことか分かりずらいかもしれません。しかし大丈夫です。今回の記事を見ていただければ何のことかわかると思います。是非最後まで見ていってください

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 こんにちは、脳筋王です。今日は疼痛が起きる原因の根本的な問題を理解して患者様の疼痛を少しでも軽減して豊かな生活を取り戻してもろう。ということで一緒に学んでいけたらと思います。

 

 疼痛がある患者様はなかなか予後が悪いですよね。入院中に改善したADLが退院した後低下して再入院なんてこともあったり、転倒して再入院なんて経験も多く見られました。こういう自宅での活動性が低下して廃用を引き起こしてしまう症例の一部は疼痛から安静にし過ぎてしまっている方もいますね。

 

 リハビリ中に改善でればまだいいですが、原因が分からずに入院期限で退院ですなんて状況になったら自分の存在意義を疑ってしまいます。僕も日々そういったリハビリの中で津越でも自分の存在意義を示せたらと奮闘しています。

 さて話が長くなりましたが、本題に入っていきたと思います。

 

目次

  1. 認知中心
  2. 関節運動のズレが生じる原因と痛む理由
  3. 筋膜の滑走性は多方向に必要性</li >
  4. 今日の内容の要約
  5. リハビリの応用

 

 

認知中心とは

 痛みを感じ取るのは、関節周囲ですね。ですので認知中心があるのは関節です。しかし関節構造体(靭帯や関節包、骨)事体が痛みを出しているとは限りません。そもそも関節にある骨には軟骨や骨膜が薄いなどの理由からかなり閾値は高いため、よっぽどのことがないと痛みは出ません。そうしないと歩くたびに刺激入力が入って痛くて歩くなんてできませんので。

 しかし関節が破壊されて遊離物が関節内に広がると炎症を起こし痛みを発します。今回はこれについては説明しませんので他の記事にて興味のある方は確認下さい。

 

 今回重要なのは2つあります。1つ目は、関節構造体(靭帯や関節包、骨)は、全て筋膜で連結しているという点です。そして2つ目は、痛みはそれぞれの関節構造体が受け取る疼痛刺激の入力の総和が閾値を超えた際に出現することです。

 

 全ての関節構造体が筋膜によってつながりを持ち、痛みは刺激の総和で決まるということは、筋も同様に筋膜が包み込んでいます。筋収縮が正常でなかった場合も痛みにつながることが分かると思います。

 では次の項目で筋膜から関節の痛みの流れについて説明します。

 

関節運動のズレが生じる原因と痛む理由

 

 そして異常な筋活動は関節が本来求めている関節運動を阻害します。靭帯や関節包は適切な方向に適度に引っ張られると痛みはありません。しかし過剰な牽引力がはたらいた場合や方向がズレた場合に痛みになります。異常な筋活動により正常から逸脱した方向へ関節が引っ張られて痛みを出すということです。

 

 ではさらに詳しくいきます。

 筋収縮を生じた際は筋紡錘を中心にして協調中心にベクトルが収束していきますが、この収束が偏りが生じることがあります。

 偏った協調中心は錘内筋線維の収縮と錘外筋線維の収縮量にズレが生じます。このズレがまず痛みにつながります。協調中心の偏りは運動方向のズレにつながり関節運動の生理的な方向外に牽引し関節構造体から痛みを出します。さらに関節運動方向を無理やり修正するために他の筋が過剰に収縮し軌道修正を図ります。このときも痛みを出します。この収縮には他の筋膜単位が使われます

 筋膜単位については確認したい方はこちらをどうぞ。

 

brainjack.hatenablog.com

 

 

 以上の3つの働きによって外傷が無く、関節に炎症を呈していない場合でも痛みが出ます。そして先ほど認知中心は筋膜を通し関節で生じるため筋肉内の活動以上があっても関節内で痛みを認知するため関節痛だと思うわけですね。

 

では協調中心とは何でしょうか。

 

協調中心とは

 まず筋外膜に筋紡錘が存在します。そして筋紡錘が収縮することで隣接する筋内膜が引っ張られて短縮していきます。筋収縮していない場所の筋内膜も収縮している方向に引っ張っれて行きます。机の上に置いたスカーフを摘まんで引っ張ると摘まんでいるところを中心にシワが寄るイメージ。このような反応が筋内全体で起こり収束していきます。この収束した点と協調中心と呼びます。

 

 協調中心が収束するには筋内膜と筋外膜の滑走性は多方向に必要になりますね。そうしないと収束できずに偏りにつながりますので。

 また協調中心が偏ることで、筋膜炎、運動方向がズレることで腱鞘炎、滑液包炎が生じることがあります。

 

  今日のテーマは、「疼痛は、非協調的な活動が正常な関節運動方向から逸脱を生じさせて関節構造体より生じる。」うですか。分からなかった場合はすみません。僕の伝える力不足です。

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最後に要約を載せておきます。

 最後にもう一度簡単に言い換えると、筋紡錘からの信号が筋膜の収縮に偏りを作り、それが骨を引っ張る方向を正しく引っ張れないことから他の方向に運動させる筋も動員して運動を成り立たせようとする。しかし関節を引っ張る方向が不適切であることは変わりません。ですので不適切な方向への靭帯や関節包の引っ張る力は痛みとして神経に伝えられます。その痛みを認知するのが認知中心(関節)となるわけです。

 

リハビリを行う上で今日の内容の応用

 まず協調中心を収束できるようにストレッチを多方向へ行う。

 よく耳にするストレッチ方向で筋に対して横断的に行うか、線維方向に行うのか、押圧するかなどいろんな手技がありますね。浅筋膜と深筋膜の間、深筋膜と筋外膜の間の滑走性を出すのであれば多方向に実施する方がよいのではないかと思います。

 

 筋緊張を改善させる効果も期待できるのですが、こちらについてはゴルジ腱器官の回にしようと思います。

この次の記事でゴルジ腱器官をを解説していこうと思いますのでお待ちください。

 

 動作時や安静時の痛みで観察する部位を関節から隣接する筋や筋間中隔に拡大して考察して治療介入を行う。理由は上記で説明しているとおりです。

 

 今日の内容になりますが、関節の炎症反応がない部位については認知中心に痛みが起こることを確認しました。ですから関節周囲の深筋膜でつながっている組織に目を向けて治療対象とすることが可能になると思います。

 

逆説的ではありますが、隣接しない筋膜単位の導入はないことになります。拮抗する筋膜の運動への介入はないわけですから、認知中心となる関節(痛みを感じている関節)に対する動きの中で治療対象から省けることになります(今回の話の機序範囲から疼痛が発生している場合に限る)。

 

こういう知識から評価を裏付けていけると専門家を名乗れる気がしてます。自己中かもしれませんが、自信をもって診療報酬を貰う(代金払って治療を受ける)患者様の前に立ちたいので。今後も行っていく僕の治療が全て根拠に基づき組み立てられた効率的な評価と治療にしていけるように勉強頑張ります。突然の決意表明でした(笑)

 

 簡単ではありますが、このようなことで今回の内容が使えると思います。また何か他にアイデアがある方は教えていただけると幸いです。

 

 今日はこのような内容となりました。また何か今日の内容で分からないことなどございましたらお気軽にコメントお願いします。分かる範囲で回答させてただ来ます。

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