brainjack’s diary

解剖学やリハビリなど身体について深く考える。

股関節伸展こそ内転筋を鍛えよ。立位姿勢のリハビリにおける内転筋の重要性。

 こんにちは、脳筋王です。

 

 最近コロナが流行っていて外にも出れず引きこもりが加速しそうですね(笑)こんな時は調べ物でもして日々の学んだことを解釈し記事にしていこうと思います。

 

 今日は、股関節について勉強しました。と言っても股関節周囲しか勉強していない気もしますが・・・。日々の臨床のアイデアになればいいのです(自己暗示)。

 

さてさっそく書いていきましょう。今日は股関節周囲筋の中でも「内転筋」について書いていこうと思います。

 

今日の内転筋のチェック項目はこちらです。

1、股関節伸展作用

2、運動連鎖と股関節内転筋

3、股関節の屈曲伸展の準備筋としての内転筋

4、股関節の内転筋と外転筋(タンデム歩行のススメ)

5、まとめ

 

 時間のない方は、まとめのところに箇条書きにしてあります。今日全体の内容を把握できるようになっています。

 

1、股関節の伸展作用

 

 内転筋は股関節内転作用のほかに屈曲と伸展にも作用しいます。この関節の屈曲と伸展は股関節の屈曲角度などで変わることになります。

 

 まずは重心位置の理解が重要になりますので、今一度確認していきましょう。

 

 その理由としては、立位にて重心位置が矢状面において大転子のところを通ります。これは股関節軸の後方を通ります。するとただ立っているだけでも股関節の伸展モーメントが生じていることになります。

 

 正常な位置に軸が存在する場合は、股関節の伸展モーメントに対し腸骨大腿靭帯と前方関節包、股関節屈筋によって制動されコントロールされます。

 

 この時に坐骨は運動軸より後方にあるため、収縮した際は股関節の伸展筋となるわけです。

 

 ここで、すみません。大事なことがあるので、少し脱線します。詳しくは省きます。

 

 この股関節軸後方を重心位置が通ることには重大なポイントがあります。それは股関節の関節軟骨のうち比較的分厚い部分の臼蓋と大腿骨頭が接触すること(実際にぶつかることはありませんが)支持されるため、衝撃吸収が効率的に行われています。

 

 さらに股関節の支持に筋活動が減少しているため立位姿勢を保つだけで疲れることが少なくなります。

 

 この股関節の運動軸の位置が簡単に崩れることが正常な方でもあります。それは股関節の屈曲拘縮を伴った場合です。この股関節の屈曲拘縮は女性の方や座りっぱなしの高齢者に多くなります。

 

 ここで一つ例を挙げましょう。リハビリに来られた方で、股関節の屈曲拘縮が起こりやすい症例は、変形性股関節症の患者様です。変形性股関節症の患者様は股関節の形成不全に伴う被覆率低下(大腿骨頭がしっかり臼蓋に包まれていない状態)が慢性的に生じます。

 

 正常な骨盤の話をします。

 臼蓋は前方が浅く、後方が深い構造をしています。この被覆率の低下を骨盤の前傾で補おうとするわけです。この骨盤の前傾により立位姿勢は骨盤の過前傾を常に起こし、腰椎の過前弯と股関節の屈曲を伴うます(マルアライメント形成)。

 

 この股関節の屈曲が長期間維持されることで拘縮を生じて結果として立っているだけでも股関節伸展筋の筋活動を必要として疲れやすくなるのです。

 

 ですので、股関節伸展可動域が保持されることは立位でのADL動作再獲得に向けた非常に重要な要素となります。

 

 話を戻しましょう。この股関節伸展筋といえば大殿筋(下部線維)と考えることが多いです。しかし正常なアライメントにおいて大殿筋(下部線維)の伸展作用は立位姿勢保持については補助期筋となります。

 

 これは股関節の屈曲拘縮がある方でも同様です。股関節の屈曲拘縮があり体幹の前傾がある場合、股関節軸の前方方向への回転するモーメント(関節モーメント)が増大しますので、股関節伸展筋の活動は重要になります。

 

 しかし股関節の屈曲モーメントの増大が生じても大殿筋の筋活動は増大しません。筋活動の増大が認められる筋は、やはり股関節内転筋とハムストリングスです。ですので、体幹の前傾が生じている症例は股関節伸展筋筋力増強のために内転筋の筋力増強を項目に加えることが重要になります。

 

 みなさんも歩き疲れたときに来る症状としては、「膝がガクガクする・・・。とか

内ももが疲れて、痛い・・・。」という経験があるのではないでしょうか。普通に歩くだけでお尻が痛いと思ったことは少ないのではないでしょうか。

 

 こんなことからも股関節伸展筋として主動作筋を挙げると、ハムストリングスと内転筋になるのでしょう。

 

 では、気になるのは大殿筋についてですが、軽く紹介します。大殿筋は股関節伸展筋です。この筋活動を必要とするタイミングは、スクワット動作や階段昇降、走るなどのさらに高いパフォーマンスを実施しないといけないときに活動してきます。

 

 ですので、日常生活で荷物を持って坂を歩く(買い物とか)、家の中に階段があるとかあれば筋力増強は必要になりますね。情報収集大事(笑)

 

2、運動連鎖と股関節内転筋

 

 股関節の運動連鎖の話もしましょう。股関節伸展には内転筋を使うと話をしました。立位姿勢において大事にするポイントは腰椎前弯と骨盤前傾ですよね。

 

 僕が好きなのでこの話が何度も出てきますが、骨盤の前傾は大腿骨の内旋を誘発します(逆も然り)。では股関節の内旋筋とは何でしょうか?

 

 正解は股関節の内旋筋は存在しません。補助筋として、内転筋(大内転筋・長内転筋)、中殿筋前部線維、小殿筋前部線維、大腿筋膜張筋があります。

 

 ここで内転筋が股関節内旋筋というイメージがしづらい方もいるでしょう。確かに恥骨筋は外旋筋になります。しかし長内転筋や大内転筋後頭は完全に内旋筋になるのです。

 

 起始停止を含めて確認していきましょう。

 大内転筋は起始が坐骨結節にあり、大腿骨粗線(大腿後面)に付着します。普通に考えると外旋筋のような配置にイメージされやすいですが、よくみると、大腿骨は生理的に前弯しています。この前弯によって、大内転筋は股関節軸の前方に位置することになり、股関節の内旋に作用することになるのです。

 

 また股関節の内旋は股関節の屈曲角度の増大とともに増大し、股関節屈曲0°と90°では約8倍も股関節の内旋作用を有しています。

 

 

 また内旋について話が脱線します。小児麻痺などの患者様は、下肢が内旋位になった歩行(内転・内旋歩行パターン)これは股関節の屈曲とともに内転筋の筋発揮が強くなり外旋筋とのバランスが崩れていることが原因になります(股関節伸展筋のコントロール不良)。

 

 リハビリでは大殿筋の筋力増強を行い伸展筋力強化と股関節の内外旋の筋力のバランスを整えることで改善が見込めることも多いかと思います。

 

3、股関節の屈曲と伸展の準備筋としての内転筋

 股関節の伸展時には大内転筋が筋活動を早期から開始して、股関節の屈曲に備えます。また屈曲時には長内転筋と大内転筋が早期から筋活動を行い股関節の伸展の準備を行います。

 

 少し歩行に触れましょう。立脚初期から中期にかけて(歩行周期の15%から30%)では骨盤は前傾し水平面では前方回旋します。股関節は屈曲位になっているため、長内転筋が屈曲のための準備を開始(筋活動)します。

 

 片方の股関節が水平面上で前方回旋位にあるということは、反対側の骨盤は後方回旋位にあるということです。

 

 先ほど大内転筋後頭と長内転筋は股関節内旋筋ですとお話ししました。このアライメントから立脚期側の骨盤の内旋が生じると反対側の骨盤が前方回旋していきます。

 

 またこの時に中殿筋の前部線維と小殿筋も内旋筋として活動しており、皆さん周知のとおり外転作用としても歩行安定性という観点から非常に大事になります。

 

 内転筋は動作時に最初に働く筋になりますので急な方向転換の際には、よく内転筋の肉離れを引き起こします。超痛い(笑)

 

4、股関節内転筋と外転筋(タンデム立位・歩行のススメ)

 

 重力に抗して動作を行う場合の鉄則についてお話ししましょう。それは主動作筋が活動する場合は、必ず動作の運動の速さや円滑性などをコントロールするために拮抗筋の筋活動も必ず生じます。

 

 股関節の内転運動を行う時は必ず股関節の外転筋の活動も伴うということです。

 

 リハビリを行う中で一度は行ったことがあるのではないでしょうか。トレンデレンブルグ歩行を呈している患者様に対して行う運動リハビリテーションの中では、結構メジャーな歩行練習の方法になると思います。

 

 タンデム歩行とは足を前方にステップする際に前の足の踵を後ろになる足のつま先にくっつけるようにして姿勢を保持したり、歩行したりする練習になります。動作の指示を出すときには綱渡りをするようになど声掛けを行うことが多いやつです。僕だけでしょうか?

 

 この時の動作を考えてみてください。後ろ側になる足は股関節伸展と内転を行っています。つまり主動作筋として内転筋が求心性収縮していることになります。

 

 さらに先ほどお話ししたとおり重力下では主動作筋と拮抗筋の収縮が伴いますので、股関節の外転筋の遠心性収縮を行うことになります。

 

 ここでワンポイントアドバイス(偉そうに(笑))!

「収縮様式を考えておこなうことです。」になるのは、保持(等尺性・協調性

収縮)→動作として反対側のステップ動作(求心性と遠心性・協調性)です。

 

 同時に収縮させることから動作の中で収縮様式を変えて行うことにシフトするということですね。

 

 恐らくみなさんやっていたでしょう!

 

 ステップ練習は骨盤を軽度立脚側へ外側偏位させて行いましょう。アドバイス2つになった・・・。

 

 このようにして行いステップ動作で行っている場合は、今回は内転筋についてを中心にお話ししておりますので、ステップずる直前・直後の崩れをみることも効果的ですね。

 

5、まとめ

・内転筋には股関節の伸展・内旋作用があります。

・運動連鎖的な観点からみて股関節の内旋は骨盤の前傾を誘発し安定性に関与します。

・内転筋は股関節屈伸運動の準備筋として働く。

・股関節の内転筋をタンデム立位や歩行で考えるという視点でリハビリを実施することは、動作の改善を図る上で非常に有効である。

・タンデム立位・歩行は、ステップの直前直後の崩れに注意する。

 

今回の内容はこちらの本を参考にしています。リハビリの学校に通っていた方はお持ちではないかと思います。

 

一応リンク張っておきますので、見ていってくださいな。

 これは重要なことがてんこもりです(笑)

 解剖学から運動学まで書いてありますので、一冊あれば何も勉強していないセラピストよりも専門的な知識を有してリハビリを実施できますので、持っていない方は持っておいた方がいいと思いますよ。

 

 長いので辞書のようにして使うか、こういったまとめブログ等をみながら参考資料として知識の埋め合わせを行うかがいいかなと思います。

 

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