肩甲骨内転誘導にて体幹の伸展を誘導する方法と理論
こんにちは、脳筋王です。
日々リハビリを行っていく中で筋緊張の高まりを改善して寝たきりでも快適に生活してもらうにはどうかかわったらいいのかなということが気になります。今の状況は快適か、力を抜くにはどうしたらいいのか考える毎日を送っています。
寝たきり患者様の筋緊張を改善できた手技を10分くらいで分かる程度の内容でいくつか紹介したいと思います。
今日は、肩甲骨・体幹の運動連鎖とリハビリ方法について紹介したいと思います。
1、肩甲骨と体幹の運動連鎖
円背の患者様は、図のように肩甲骨が外転位(外に開いている)になってます。
人によってはさらに下方回旋を伴っています。
肩甲骨の外転は胸椎の後弯を強めることや胸郭の狭小化につながります。
肩甲骨と胸椎の運動連鎖がなぜ起こるのかというと、筋の起始と停止が存在するからです。
本来体幹の伸展(抗重力伸展活動)を行う筋として重要になるのが、胸棘筋や僧帽筋の中部・下部線維と前鋸筋下部線維です。
前鋸筋については、ここで少し詳しく見ていきましょう。
下部線維の走行は、肩甲骨内側面から肋骨を斜め下に向かって走行しています。そのたえ収縮した際は下位肋骨を上方へ引き上げる作用を持っています。この下位肋骨の動きが胸郭を拡張し、体幹の伸展位につながります。
この後の手技のところで説明がありますが、前鋸筋も動作時に収縮を促通することで体幹の伸展は生じやすくなります。
筋の話は細かいので図をみて、肩甲骨の外転が円背につながることをイメージして頂ければ大丈夫です。
2、リハビリ手技
では、実際の手技についてです。
①後方に立って、手のひらを肩甲帯に当てます。
②前鋸筋を自分の第3~5指で引き寄せて、親指で脊柱起立筋を引っ張ります。
③そのあと内転方向に誘導した際に少し脊柱が伸展してきます。
④この脊柱の伸展に追従するように体幹伸展も誘導します。
自分がいつもやっている感覚としては、これで動くのであれば単純に筋力低下か覚醒が悪いかのどちらかと思っています。
動かない理由としては、精神的な恐怖心があることが考えられます。対応としては前方の安心感をもってもらうために、前に支えを作った状態でやってみましょう。
他には、主動作筋と拮抗筋の共同収縮が入ってしまっている場合があります。
この場合は、姿勢反射を出さないようにポジショニングを整える(下肢をしっかり床面に接地する・骨盤に支えを入れる・上肢で何かにつかまってもらうなど)。
まず本人に体幹の伸展を行ってもらって全体的に動きを出してから肩甲骨を誘導するなどを行います。
次に肩甲骨の内転から体幹が伸展してこない理由として、骨盤や腰椎部、足部の硬さがあげられます。
脊柱は腰部と骨盤とつながっていますから何となくイメージはできると思います。
足部についても同様で背屈制限がある場合、下腿から大腿の運動連鎖が生じないため骨盤が前傾できず、体幹の伸展が起こらないことがあります。
そういった場合の対処としては、まず可動域を拡大することが大事になります。
骨盤と股関節の可動域制限がある場合は、治療台を高くして股関節の屈曲角度を調節するか、楔状のマットを殿部に引いて行います。
足部の問題であれば足底を浮かせて行っていきます。
3、あとがき
この手技で分かることとしては、体幹と肩甲骨の運動連鎖不全があるのかという点です。
また、他の手技同様にどこが悪いのかなどを促通方法にバリエーションをもたせていくことで簡便に評価を行うこともできます。ぜひ一度手技を実践してみてください。
では、また手技についてなど紹介していきますので、よろしくお願いします。